Jira Software を使ってプロジェクトを運営しよう!
Jira Software のインストールが完了したら、早速プロジェクトを作成していきましょう。Jira Core を使って最初のプロジェクトを作成しよう!では、ラーメン屋さんのオープンを例に説明しました。今回は、そのラーメン屋さんでの飲食店運営向けアプリ開発を例にして、Jira Software の使い方を説明していきます。
このドキュメントは Jira Software Server バージョン 8.14.0 を基に作成しています。
目次
Jira Software の強みは何といっても、アジャイル開発に適しているプロジェクト管理ツールということです。アジャイル開発って何??という方でもご安心ください。Jira Software の機能と合わせて説明していきます。Jira Core を使って最初のプロジェクトを作成しよう!で立ち上げたラーメン屋さんが繁盛して、オーナーであるあなたはアプリ上での注文と決済が出来る飲食店運営向けアプリを作成して、自店で導入したいと思っています。
事前学習
Jira Software でのプロジェクト作成の前に、下記の学習がまだの方は事前に学習お願いします。
3つのプロジェクトの特徴を理解しよう!
種類 | スクラムソフトウェア開発 | カンバンソフトウェア開発 | 基本ソフトウェア開発 |
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自動作成されるボード | スクラムボード | カンバンボード | |
スプリント | (スクラムボードは毎回リセット) | (カンバンボードは常に継続) | (手動で追加可能) |
見積もりとトラッキング | |||
課題タイプ |
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課題タイプとワークフロー | |||
サイドバーの表示項目 | |||
お勧めの使用例 | 新規ソフトウェア開発 | 運用サポート、計画外の要求やタスク管理 | 新機能の開発やバグのトラッキング |
スクラムソフトウェア開発を使ったスクラム開発の流れ
まずはスクラムソフトウェア開発を使ったプロジェクトの流れを説明していきます。
見積とトラッキングを設定しよう!
- スクラムソフトウェア開発の新規プロジェクト作成が終わったら、見積とトラッキングを設定しましょう。ボード画面 > ”ボード” > ”ビルダー”をクリックします。
見積の設定には下記の3種類があります。1つのスプリントで遂行される作業量の予測のために見積もりを行います。継続することでベロシティの精度が増し、その結果、プロダクトの完成までの見積もりが出せるようになります。
種類 説明 見積の単位 ストーリーポイント ストーリーポイントの値を入力して見積もる ストーリーポイント(フィボナッチ数列が一般的) 初期見積時間 時間や日数を使用して見積もる 最小は分、最大で週単位 課題数 課題の数でベロシティが測定される 課題の数によって見積もられるため、入力不要 - Atlassian で推奨されている方法「見積統計はストーリーポイント、時間管理は残余見積と消費時間」を今回は選択します。
なぜ、ストーリーポイントで見積もるのか?
時間ではなく、ストーリーポイントで見積もる理由は、長期的にみるとストーリーポイントによる見積もりの方が時間による見積もりよりも、遥かに精度が高いという統計結果が出ている為です。Jira Software サポートドキュメントのストーリーポイントによる見積もりも併せてご覧ください。
勤務日を設定しよう!
次は正確なレポート計測の為に、下記を例にして勤務日を設定しましょう。
バックログを作成しよう!
つぎはバックログを作成していきましょう。バックログとはプロジェクトの未着手の作業を意味する課題の一覧です。その際に選ぶ課題タイプは下記を基準に選びます。
課題の種類 | 課題の説明 |
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多数のストーリーに細分化できるもの 例:
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ソフトウェアの機能をエンドユーザーの視点から説明したもの 例:
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タスク | エンドユーザーの視点を取り除いた作業 例:
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サブタスク | ストーリーやタスクを完了する為のステップ(ストーリーやタスクの子の課題) 例:
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バグ | ソフトウェアの不具合など 例:
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課題の分類方法
- まずはエピックを作成してみましょう。バックログで”エピック”をクリックします。
- ”+アイコン”をクリックします。
- アプリ注文を最初のエピックとして登録してみます。エピック名と要約を入力して”作成”をクリックします。
- 次は課題を作成していきましょう。先ほど作成したエピックから、”エピックで課題の作成”をクリックすると、そのままそのエピック内で課題を作成出来ます。
- 下記のようにエピックで課題の作成をすると、課題の繋がりが把握しやすくなります。
コンポーネント機能で担当者を自動で割り当てよう!
- ストーリーやタスクをバックログに作成した後は、必要に応じたサブタスクを作成していきますが、その際にコンポーネント機能を利用すると自動で担当者を割り当てることが出来ます。”コンポーネント”をクリックして、コンポーネントを追加しましょう。
- 課題の作成画面で、コンポーネントを指定し担当者を自動にして課題を作成すると、自動的に担当者として割り当てられます。下記の場合は、テスターのコンポーネントリーダーの Mou が担当者になります。コンポーネント機能については、リックソフトブログでより詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
ストーリーポイントを入力しよう!
見積(ストーリーポイント)を入力しましょう。ストーリーポイントは相対見積もりで作成することが推奨されていますので、基準となる課題を一つ決めて、その課題のストーリーポイントを基準値として、他の課題のストーリーポイントを入力していきます。その際に使用する数値はフィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8, 13, 21...)が推奨されています。数字の決め方の例としては、プランニングポーカーがあります。
- 見積はバックログの一覧から課題を選択し、見積:の右側の””をクリックして入力しましょう。
バージョンを作成しよう!
- 次にバージョンを作成しましょう。プロジェクトサイドバーのリリースをクリックしてバージョン名を入力します。開始日やリリース日、説明はオプションで入力できます。
- 今回は下記のように3つのバージョンを作成してみました。
課題にバージョンを入力してみましょう。バックログから課題を選択して入力することができます。
影響バージョンと修正バージョンの違い
[Affects version (影響バージョン)] とは、バグまたは問題が見つかったバージョンです。主にバグ課題の追加時に使用します。[Fix version (修正バージョン)] とは、顧客への機能のリリースまたはバグ修正を計画しているバージョンです。このフィールドはリリースの計画、進捗とベロシティの監視、および各種レポートに使用されます。
スプリントを作成して、開発を始めよう!
- スプリントの期間は通常1週間から4週間程とされていますが、今回は2週間で設定してみます。目標と開始日も入力して、”作成”をクリックします。
- スプリントが作成されました。こちらにバックログの課題をドラッグしてスプリント計画を立てていきましょう。
- ひとまず、下記の課題を計画に含みました。適切に管理すれば、スプリントを繰り返す毎に見積の精度が上がっていきます。担当者を割り振ったら、”スプリントの開始”をクリックして作業に取り組みましょう!
スクラムボードで課題の進捗状況を管理しよう!
- アクティブなスプリント = 現在取り組んでいるスプリントのスクラムボードです。早速クリックして確認してみましょう。下記の写真のように各課題の下に子のサブタスクが表示されます。
- まずは、それぞれのサブタスクに初期見積を入力しましょう。サブタスクは1日、長くても2日程度で終わる作業量にするのがポイントです。それよりも大きい場合には、分割してみましょう。
- 右上の > 課題 > 画面 > スクラム規定画面スキーム > (プロジェクトキー): スクラム規定画面スキーム > (プロジェクトキー): ”スクラム規定画面スキーム”の順番でクリックして編集可能なフィールドタブに時間管理を追加します。
- そうすると課題の編集ページで下記のように初期見積と残余見積を入力するフィールドが出てきますので、ここの初期見積に入力しましょう。残余見積は空欄だとそのまま初期見積の値が反映されます。
- 右上の > 課題 > 画面 > スクラム規定画面スキーム > (プロジェクトキー): スクラム規定画面スキーム > (プロジェクトキー): ”スクラム規定画面スキーム”の順番でクリックして編集可能なフィールドタブに時間管理を追加します。
- 全てのサブタスクに初期見積の入力が完了したら、親の課題の見積(初期見積)の値を見てみましょう。子のサブタスクの残りの合計時間が表示されています。子のサブタスクに作業時間をログしていけば、自動的に親の課題の残り(残余見積)の値も減っていきますので、あと何時間位で課題(今回はストーリー)が終わるのかの参考になります。
- 課題をスタートしたら、ステータスを進行中にします。ボード上は下記のようにドラッグして簡単にステータスの変更が出来ます。
- 全てのサブタスクが完了すると、親課題を更新しますか?という下記の画面が表示されますので、”更新”をクリックして、親課題のステータスを完了に更新しましょう。
- サブタスク完了後の親課題の画面です。どのサブタスクが想定よりも時間がかかったのか、すぐに分かる為、原因の把握や次のスプリントに向けての改善に活かすことが出来ます。
スプリントを終了しよう!
- スプリントの終了日になったら、右上のスプリントの完了をクリックしてスプリントを終わりにします。正確なレポートを出す為にも、課題が全て終わっていなくてもスプリントは終わりにしましょう。残った課題は、バックログに戻すか、新しいスプリントに移動出来ます。
お疲れさまでした!最初のスプリントが終わりましたね。レポートを活用しながらスプリントレビューを行い、次回以降のスプリントに活かしていきましょう。
バージョンをリリースしよう!
スプリントを重ねて、バージョンのリリースに必要な作業が全て終了したら、バージョンをリリースします。
- バージョンのリリース ステータスを確認しましょう。プロジェクトサイドバー > リリース > バージョン名の順でクリックするとバージョン内の課題のステータスを確認出来ます。確認後、右上の”Release”をクリックします。
- 未解決課題は、無視してリリースか次のバージョンに移動することが出来ます。リリース日を選択して”Release”をクリックします。
- バージョンをリリースすると、リリース済みのマークが付きます。この作業によって、バージョン内の課題のステータスが自動で変更されることはありません。
カンバンボードを活用しよう!
まずはスクラムとカンバンの違いについて説明します。スクラムとカンバンの一番の違いは、スプリントの有無です。その為、継続的に取り組む必要のあるプロジェクトの運営にはカンバンソフトウェア開発を使ったプロジェクトの方が適しています。
項目 | スクラム | カンバン |
---|---|---|
期間 | 開始日と終了日が明確 | 継続的なフロー |
リリース方法 | 各スプリントの終了時 | 継続的デリバリー |
チームの役割 | プロダクト所有者、スクラムマスター、開発チーム | 役割不要 |
主要指標 | ベロシティ | リードタイム、サイクル期間、WIP |
変更に対する考え方 | スプリント中に変更を加えない | 変更は随時発生する可能性あり |
例えば、リックソフトのヘルプデスクでは、下記のように列を作成して、担当者ごとにクイックフィルターを作成して運用しています。1クリックでそれぞれのメンバーの作業状況を確認できます。
スクラムソフトウェア開発で作成したプロジェクトでは、自動的にスクラムボードが作成されますが、別途カンバンボードを追加することができます。
- カンバンボードを作成してみます。プロジェクトサイドバー > (プロジェクト名)ボード > ”ボードを作成”をクリックします。
- ”カンバンボードを作成”をクリックします。
- ボードは”既存のプロジェクトからのボード”か”既存の保存済みフィルタからのボード”を作成出来ます。今回は”既存のプロジェクトからのボード”を選択して、”次へ”をクリックします。
- ボードに名前をつけて、”ボードを作成”をクリックします。下記の画像にあるように、複数のプロジェクトの課題を一つのボードにまとめることも可能です。
- カンバンボードが作成されました!ここからプロジェクトやチームメンバーに合わせてカスタマイズしていきましょう。右上のボード > ”ビルダー”をクリックします。
- 列の管理で、列の追加、削除、順序の並べ替え、および名前を変更することができます。
- 進行中のステータスで開発、デザイン、テストの3つの列を追加してみましょう。”列を追加”をクリックして名前を入力し、”追加”をクリックします。
- 追加が完了しました。ボードに戻ってみましょう。
- ボード上で新たに追加された列に課題をドラッグして振り分けてみます。
- 振り分けが完了しました。列が変わると、自動でステータスも変更されます。再度、ボード > ビルダー > 列の管理で進行中の列ををクリックして削除しましょう。
- 次は最大値を設定しましょう。詳細はカンバンの WIP 制限の実行をご覧ください。デザイナーが1名、開発者が2名、テスターが1名いると仮定します。ここではその数を x 2倍した数値を最大値として登録します。課題の粒度やメンバーのスキルによって調整しましょう。
- ボードに戻ると、デザインの列が赤くなり最大値を超えてしまっていることが一目で分かります。それと合わせて、開発者とテスターが余裕があることも分かる為、メンバー同士が協力してボトルネックになっているデザインの課題に取り組むという対策を素早く行うことが出来ます。
- スイムレーンでベース スイムレーンを変更するとカンバンボードの表示形式が変わります。こちらではクエリが選択されていて、優先度の順番で上から順番に表示されます。
- ベース スイムレーンをストーリーにすると下記のように課題が表示されます。
- 一般およびフィルタでは、ボードに使われているフィルターを編集することが出来ます。プロジェクトからカンバンボードを作成した場合、デフォルトのフィルターでは全ての課題タイプが含まれますが、サブタスクやバグのような粒度の細かい課題のみを表示させて、課題のステータスを変更していく方法もお勧めです。(全てのストーリーとタスクがサブタスクの集合体で成り立っている場合)。”フィルタクエリを編集”をクリックします。
- タイプで表示させたい課題タイプにチェックを入れて、”保存”をクリックします。
- エピックやストーリーがカンバンボードで表示されなくなり、スッキリ見やすくなりましましたね!
- ボード上の課題を素早く絞り込むことができるクイックフィルターを追加してみましょう。下記のように最近更新された課題を選択すると、最近更新された課題のみ表示されます。ビルダー > ”クイックフィルター”をクリックして中身を確認してみましょう。
- updatedDate >= -1d というJQLが設定されています。こちらは1日以内に更新された課題が表示されるという意味になります。
- 試しに一つ作成してみましょう。Tama の課題のみ表示するクイックフィルターを作成してみます。
- ボードのクイック フィルターに追加されました!
- 他にもカードの色やレイアウトをカスタマイズ出来ますので、必要に応じて行ってみましょう。カンバンボードを使用するメリットは、進行中の課題に集中することにより、効率を最大化することです。スクラムバンという、スクラムとカンバンをミックスした方式を好むチームもいますので、チームとプロジェクトに適した方法で運営をしていきましょう。
以上が Jira Software の基本的な使用方法となります。
Jira Software には様々な機能がありますので、使いこなせるようになるにはどうしても時間がかかります。チームメンバーが操作に慣れるまでは極力、不要なカスタマイズは避けて、本来の業務に集中できる環境にしていきましょう!
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