Jira Service Management を使って変更管理する

Jira Service Management を使って変更管理する

変更管理とは?

IT サービスに対して何らかの変更に対する業務を管理し、リスクや IT サービスの中断を最小限に抑え、IT サービスを円滑にするためのプロセスです。

ITIL ではこのプロセスを”変更実現”と呼んでいますが、Jira Service Management では変更管理としているので、このドキュメントではそれに従います。

変更は、以下の3種類のいずれかに分類されます。

変更のタイプ

  • 標準変更:リスクが低く、あらかじめ承認されている変更。(例:メモリやストレージの追加など)

  • 通常変更:文書化されたプロセスに従って評価、承認を行う必要がある変更。(例:サーバーの部品変更など)

  • 緊急変更:可能な限り迅速に対処する必要がある変更。(例:インシデントの解決やセキュリティ パッチの実装など)

変更管理プロセス

変更管理の大まかなフローは、以下の通りです。

image-20250417-071950.png

 

  1. 変更リクエストの作成・記録
    どのような変更を行うのかを明確にし、IT メンバーが記録します。変更リスクや効果、影響を受けるシステム、想定される実装等を決めておきます。

  2. 変更リクエストのレビュー
    変更マネージャーまたはピア レビュアーが変更が成功するかどうかを判断します。

  3. 変更の計画
    IT チームが変更を適切に実施するために計画します。主に、期待される結果やテスト、タイムライン、必要に応じてロールバックの手順を計画し、文書化します。

  4. 変更の承認
    適切な変更マネージャー、ピア レビュアー、または変更諮問委員会(CAB)の関係者が計画をレビューし、変更を承認します。

  5. 変更の実装
    承認された変更リクエストに対し、開発チームが変更を実装し、リリースします。手順と結果を文書化します。これは、リリース管理や展開管理の一環でもあります。

  6. 変更のレビューとクローズ
    変更マネージャーは、承認された通りに変更が実施されたかを検証します。また、変更文書に変更内容や評価内容をまとめ、すべての処理が完了したら変更文書を完了にします。

Jira Service Management で変更管理をセットアップ

Jira Service Management の 高度な IT サービス管理テンプレートには、変更管理プロセスを適切に進行するためにワークフローが既に用意されています。

image-20250227-045722.png
既定のワークフロー

また、自動化するテンプレートが用意されているため、自動化された変更リスク評価、高度な承認ワークフロー等を利用し、変更管理のフローを簡素化できます。

問題の根本的な解決に IT システムの変更が必要となった場合を想定し、変更タイプは「通常変更」とし、変更菅理のフローに沿ってプロジェクトを作成してみましょう。

手順1-プロジェクトを作成する

  1. [プロジェクト] > [プロジェクトを作成] を選択します。

  2. サービス管理テンプレートより使用するテンプレートを選択し、[テンプレートを使用] を選択します。
    以下の例では「高度な IT サービス管理」のテンプレートで作成します。

高度なインシデント管理機能は、Premium プランと Enterprise プランのみが利用できます

2024 年 10 月 16 日より、Jira Service Management の高度なインシデント管理機能(メジャー インシデントやインシデント事後レビューなど)は、Free プランや Standard プランではご利用できません。

image-20250226-054339.png
  1. プロジェクトの名前、プロジェクトキー、チームタイプ、チャネル アクセスを設定します。

  2. [プロジェクトの作成] を選択します。

    image-20250226-091239.png

手順2 -変更の課題を作成する

リソースの割り当て変更やパフォーマンス調整のような小規模で予測可能な変更は、通常、標準変更に該当する場合が多いですが、今回の例では過去の実施履歴がない前提で通常変更としています。
会社や組織によっては、手順やポリシーにより、標準変更として扱うか通常変更として扱うかは異なります。

  1. 問題管理にて解決策が見つかり、 IT システムの変更が必要になった場合は、変更リクエストを作成します。
    Change type、Impact、Change risk、Planned start date/end date や Change start date/completion date等必要な項目を入力します。

    image-20250227-081105.png


    プロジェクトサイドバーにある変更カレンダーにて、すべての Jira Service Managment サービスプロジェクト全体の変更を表示したり、カレンダー上でスケジュールし管理できます。他の変更対応とバッティングを回避するために、事前に調整することができます。

    image-20250227-061547.png


    また、チケットの起票者は、リスクインサイトパネルより、最近のインシデントや、競合する変更等を全体的に把握することが可能です。
    リスクインサイトパネルを表示するには、[影響を受けるサービス]、[Planned start date]、[Planned end date] のフィールドが入力されている必要があります。リスクインサイトの詳細は こちら からご確認ください。

    image-20250227-081144.png


    競合がある場合は、レビュワー(変更マネージャーまたはピア レビュアー)に事前に報告し、変更の計画日を見直す必要がある場合は、チケットのカレンダーアイコンより日程を変更します。

    image-20250227-081212.png

     

  2. レビュワー(変更マネージャーまたはピア レビュアー)をチケットの担当者にアサインし、レビューを実施します。

    image-20250227-081234.png

     

  3. レビューが完了したら、チケットのステータスを「計画」にトランジションし、IT チームのメンバーに担当者を割り当てます。

    image-20250227-081259.png
  4. IT チームのメンバーは、変更を適切に実施するため、期待される結果やテスト、タイムライン、必要に応じてロールバックの手順について Confluence へ文書化します。チケット内の Confluence のアイコンから[ページ]を選択します。

    image-20250227-081327.png

     

  5. Confluence ITSM の変更管理のテンプレートを活用し、記録していきます。

    image-20250227-074435.png
  6. Confulence のページは自動的に Jira 課題にリンクされます。

    image-20250227-081443.png

     

  7. 適切な変更マネージャー、ピア レビュアー、または変更諮問委員会(CAB)の関係者が計画内容をレビューするため、チケットのステータスを「承認」にトランジションします。

    承認ステータスにトランジションすると、「影響を受けるサービス」が紐づけされている場合は、承認者グループに自動的に「決済処理」サービスの"変更承認者"が割り当てられます。
    サービスの内容や設定については、こちら からご参照ください。

    image-20250227-081534.png

     

    image-20250227-070722.png
    決済処理サービスの設定内容

    影響を受けるサービスを選択していない場合は、[承認者グループを追加]より承認者グループを追加します。

    image-20250227-071810.png

     

  8. 承認グループのユーザーは、「承認」または「却下」をします。

    image-20250227-081554.png
  9. 「承認」すると、チケットのステータスは、「実装待ち」に自動的にトランジションされます。「却下」の場合は、「レビュー」に変更されます。

    image-20250227-081613.png

     

  10. チケットの担当者を開発チームのメンバーに割り当てするか、内部コメントで開発チームをメンションして連携します。開発チームは、チケットのステータスを「実装中」に変更し実装に取り組みます。また手順と結果を Confluence に文書化したうえでリリースします。

    image-20250227-081745.png

     

  11. 変更マネージャーにチケットを再割り当てします。変更マネージャーは、承認された通りに変更が実施されたかをレビューし、適切な場合は変更をクローズします。

    image-20250227-081905.png

     

  12. 変更文書に変更内容や評価内容を 手順5. で作成した Confluence ページに記録します。
    (例.変更が成功したかどうか、タイミングが適切か、見積もりが正確だったかどうか、予算内かなど)

    image-20250227-082541.png



 

ご不明点は ヘルプデスク (要サポートサービス契約)までお問い合わせください。
サポートサービスの新規ご契約は お問い合わせフォーム にご連絡ください。

Related content

リックソフト株式会社 は、日本でトップレベルのAtlassian Platinum Solution Partnerです。
大規模ユーザーへの対応実績が認められたEnterpriseの認定をうけ、高度なトレーニング要件をクリアし、小規模から大規模のお客様まで対応可能な実績を示したパートナー企業です。


Copyright © Ricksoft Co., Ltd. プライバシーポリシー お問い合わせ